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6月14日、Tiny Tiny Tiny

 

 

 

糾弾し続ける、
憎悪 の 指。
背をこごめ、
逃げ去って行くのも、
ぼくの後ろ姿 。
あれ以来、
空飛ぶ夢も、
いっこうに楽しい
ものではなくなった 。


地球の
引力から
逃れても、
いずれ
泳ぎ続けるのは、
涙の海 。

 

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安部公房

 

 

 

6月3日、いかれたBABY

どういうことがさいわいなのかを知っていた。

生まれる前から、ずうっと前から知っていた。

 

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限りなく透明に近いブルー」を身にまとって

いつもどこかに忘れ物をしてきたような気持ちになる。

そこに着いたのは日が暮れるほんのすこし手前。

波と風の音がどんどんと静けさに変わってゆく間に

きみとわたし、あやとりするみたいに話しながら

まだぬくみの残る砂の上でゆっくりと煙草を2本吸った。

海はわたしにとって、目の前にいるきみのまつげの先にある視線を追いかける場所だ

海はわたしにとって、いつも、きみに、恋する場所だ

 

言葉は万能じゃないのに、

人の気持ちはわからないのに、

そんなことわかってるのに、

どうにかしてわかりたいと、伝えたいと、

いつも願ってる

もがいている

 

苦しいとき写真が解き放ってくれる

溺れていることを忘れて、ただただ笑顔になる

この世のものじゃないみたいなきみの存在感

ありがとう、ここに居てくれて

ありがとう、触れられる距離に居てくれて

 

何もない場所にこそ恋は生まれる

見えているもの、見えていないもの

すべてのものが満ちているからだ

そのことに気づくからだ

 

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今、光で描かれた眩しいきみに恋をしている

 

5月18日、YOU

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俺たちが考えることをやめていたのは、軍事的戦略のことだけじゃなかった。静かに物思いに耽る瞬間、ありえた可能性や、別の場所に続いていたかもしれない道について考える瞬間も俺たちは自粛していた。

 過去を振り返って、別の恋人や町について考える瞬間。俺たちが行ってみて、ここが自分のいるべき場所なんじゃないかと思った場所。果樹園とオークの木陰があって、本物の川と季節がある場所。あるいは、別の人、ひょっとすると、花も灰もない別の町で、彼女とだったら…。そこから何かが生まれるなんてことはまずないが、少なくとも思い出とノスタルジーにどっぷり浸かることにはなる。

 そして、俺たちは鉛の家の中でなら好きに考えて思い返すことができたが、そこにはいつもフリエタがいて、物思いに沈んでいるような様子はすぐに察知されてしまった。

「フロッギー、何を考えているのか教えて」と彼女はよく言った。何のために戦争をしているのか、彼女はわかっていなかった。

 でも今日、俺はエルモンテの通りを歩いて、時おり、自分が別の場所にいることを想像してみた。そよ風が花と堆肥の匂いを運んできて、俺は我に返って、サンドラのこと、そしてフリエタのことに引き戻された。サンドラが俺の首にインクを付けて、俺が彼女の服に花びらを詰め込んで、二人の愛と、カーネーションから生まれたギャングのお祝いをした、あの日。

 

 

「People of Paper」(p170、フロッギー)

 

 

 

 

5月12日、Slight Slight

太陽がそろそろとてっぺんに昇るまでの間

そしてまた静かに濃紺へと変わりゆくまでの間

わたしたちはいつも、いつまでも、はじめてを生きる。

はじめまして太陽。はじめまして星。それはワンダー。

 

朝の光にさらされて

大気を揺らす風に驚かされて

寝ている間にすっかり丸まってしまった体を

くう、と伸ばして宇宙の一粒である体を幸福に思う

何気ないのなかを歩いていく。うれしい。

 

水をやらないと首をもたげてしまう花ばな

ちいさな水槽の中でゆうゆうと泳ぐ魚たち

浮き沈みの渦の中にたゆたっているわたし

どれもが朽ちていく、生きていくそんな存在。

それが、うれしい。地上にもある天国。

 

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海に行きたいと思いました。

ああこれは恋だと思いました。

確かなものをみつけられる予感。うれしい。

 

 

サンドウィッチをつまむ指先。

カタカタと仕事をこなす指先。

たまにわたしのふとももに触れる指先。

いろんな指先を知った。

今日の全部がたからものだ。

そうっと体に眠らせておくことを決めた。

 

煙草の嫌いなその人ではあるものの

こんなに長居するのならばすすめられた喫煙席に

おとなしく座ればよかったと少し思いながら

本当は決意めいた気持ちでわざと煙草を持ってこなかったこと。

教えてあげたかった。

 

会えば覚えておこうと思うものだけれど

もう直ぐ来る夏の日差しでかんたんに溶けてしまうアイスクリームみたいに

話したことも、あの素敵な笑顔も、飲んだコーヒーの熱さも忘れてしまう。

それはきっとこれから始まるであろう日々が明るくて楽しみだからかもしれない。

瞬間、瞬間、まばたきのあいだを、ただただいとおしくおもった。

 

あいしてる、と3回唱えると誰のこともあいせてしまう

それがわたしの得意なことだったけれど、あなたには通用しなかった。

そんな隙間をあなたは与えてはくれなかった。

半分しか入っていないコップに、水が満ちていくようなこと。

喜びのようで、幸いのようで、切なさであり、寂しさだった。

 

どうでもよくないことはあったと思うけれど

どうでもいいことばかり話した。

 

ほうきでスミバキをするような正確さよりも

ゆるんで咲く花のそのタイミングのような自然さを大切にする。

 

明日のことよりも

今日のことばかりを選んでゆこう。

 

 

ひとりじめというのは、さびしいんだ

 

あなたを想うとき、そう感じる。

いびつな愛しかたかもしれないなあ。

でも、わたしだけの人になったら、さびしい

窓をガラガラと開ける力を携えていてほしい。

風に吹かれる自由を忘れないでいてほしい。

流れる時間の違いも、ゆるまりかたの違いも

本当のやさしい気持ちをもってゆるすことができそうで

これを恋と呼ぶのか愛と呼ぶのか

熱に浮くわたしにはまだわからない。

 

わからないけれど

何気ないもの、匂い立つもの、真新しいもの、懐かしいもの

あなたと見ていけたらいいのにと、こころが踊る。

 

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恋はすてきだな。

恋することに勇敢でいたいな。

 

ましろのシーツに星みたく散りばめた写真を記憶と繋いで

ありがとうとおやすみなさいを同じ空の下にいるあなたに送ろう。

それぞれの布団に潜り込み、

それぞれの体温でそれをぬくめながら

猫背なわたしたちは穏やかな猫のようにゆったりと丸まろう。

うずくまるのではなく、そっと優しく空気を抱くようにして。

そしたらきっとすてきな朝がやってくる。

 

わたしたちはいつも、いつまでも、はじめてを生きる。

はじめまして太陽。はじめまして星。はじめましてあなた。それはワンダー。