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2月24日、ごめんね

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今日も誰かが「この世界は素晴らしい」って歌ってる。

救いがあるとすれば、それはみんないつかは死んでしまうことだ。

今日会うあなたにセイ・ハロー

今日愛したあなたにセイ・グッドバイ

だからあなたはびゅーてぃふる。

 

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自分のやりたいこととか、その仕事の本質とか、

それがこれからどんな風になってくのかとか。

飛び込む前にじっくり考えることができる時間を持てること自体、

とても有難いことだと思う。

 

ずいぶん日差しが強くなってきていても、

どれだけ水がキラキラと気持ちの良い夏色でも

海開きの日の海の水はいつも冷たかった。

そんなことを知らなかったときは、とても驚いたものだけど

今は知っているから上着だってしっかり持っていく。

 

冬の海は寒くても、日差しがあれば乾いたサラサラの砂は熱を溜め込んでる。

知らずに裸足になったときには、感動したけれど

今は知ってるからその温かさを信じている。

 

知ることで用意周到になり、行動や仕草にバリエーションが増えたけれど

知る前の夏がきたワクワクした気持ちは はかれないほど素晴らしいものだったし、

 

 

飛び込んだら飛び込む前にはどうしたって戻れないことを知っているから、

もう戻ってこなくなる過去が、今あるうちからもう恋しい。

知ってしまうことを知っているから、知らない今が愛おしい。

 

 

 

 

2月17日、波よせて

 

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AM7:03

 

昨日の夜、職場のおばちゃんがくれたケーキと

淹れたてのコーヒーを飲んでたのが真夜中の2時だった。

苺のロールケーキとモンブランを半分こずつ食べて、

ぬくい部屋でうとうとと夢とのあわいを行き来するきみを

心底いとおしく思いながら、わたしも眠くなるのを待っていた。

まるでお母さんみたいな気持ちでぎゅう、ときみを抱きしめる。抱きとめる。

ここにいたら悪いことはまるで起きないのだから、きみは安心して眠るといいよ。

疲れた体も、もやもやするこころも、今は置いておいていい。

そんなことを思っていた。

 

わたしはどうしても長く眠れない。

だから隣の部屋で気持ちよさそうに眠るきみを

ずうっとくっついて眠っていたきみを

少しの間だけ手放して、わたしは今ひとりパソコンに向かっています。

 

裸で抱き合うと原始の風景が見えるねなんて言いながら

2月の朝方は冷えていて、私たちはまた服を身に纏った。

これも原初の風景なのかもしれない。

 

きみの自由なところが好きなんだ、わたし。

「そういう風に生きたいならば、そういう風に生きればいい。」

その姿勢が、頑なさが、わたしをわたしの人生の旅にいざなう。

たった一度きりの人生を波に乗るようにサバイヴするきみを

わたしはどうしても守りたい。きみの自由を守る存在でありたい。

自由であることは、貫くことは、たまに孤独で、たまにむつかしい。

認めてもらえないことや、偏見に晒されることもきっとあるけど

わたしだけはきみの味方でいようとこころに決めている。

きみがどこかに旅に出てしまう時、きっと寂しいけれど

わたしだけは笑っていってらっしゃいって大手を振れるように、と願う。

「きみは素敵だよ」

それだけをこころで、からだで、あらわせられたらいいのにな。

 

いつも全力で遊んで疲れきって

気づいたらくっついて記憶もないままに眠ってしまうわたしたちは

雪崩れ込むようにして恋をしている最中なのに、とても穏やかだ。

キスも体を重ねることも忘れてぴったりとしか言いようのない

同じ水場で一休みする異なる匂いのする獣となって

ぐうすか、と寝てしまう。

安心はこんな風に訪れるのかとこころが震えてしまう。

 

ねえ、本当に会えてよかった。

大切で愛おしいきみに。

きみに、心から花束を贈ろう。

 

そしてひとり冬眠に最適なあたたかな布団の中に

残してきた愛くるしいきみを抱きしめに

わたしもふたりの穴ぐらに戻ろう。

 

 

 

2月6日、北斎の雪景色

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しんしんと舞い落ちてくる雪の景色を、夢で見た。

るりちゃんの手紙に、

たくさんの雪が降っていたからかもしれない

恋人の見せてくれた北斎の絵の中で、

虎が悠々と闊歩していた景色も雪だった。

でも、そういえば眠る前に写真を見た。

わたしの夢の景色はわたしのよく知っている部屋の窓から見たものだった。

夢を見ると死ぬときにわたしは一体何を、誰を思い出すんだろうと思う。

 

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夢とか未来とか希望とか

あてどもない漠然とした不安とか

どこにも行けなかった体のことや

宇宙の始まりと終わりや

今もどこかで起こっている戦争のこと

そんなことばかりで溢れきって笑ったり泣いたりしていた

いつも大げさに喜んで悲しんでいたように感じるけれど

わたしは深呼吸をしていただけだった。

いつも世界を感じていた。光を浴びていた。

少しくらい、それを照明する光源は自分の中にあった。

それはまるでからっぽなしあわせ。

たとえば、「好きな気持ちだけで誰かと恋人になる」

それでよかったはずなのに

年を重ねていく中で、

「好きなだけで誰かと恋人同士になること」は「なくなった」。

些細なことでも感じたり悩んだり涙したり笑顔になるようになった。

大人になったのかしらと思うこともある。

だとすればもう、あの頃のしあわせは案外とおいところにあるのかもしれない。

 

わたしの敬愛する音楽の友 Iris Dement は「My  Life」の中で

私の人生はちっぽけで、誰も思い出すことのない9月のよう、と歌いながら

けれどわたしは、

母を喜ばせ

恋人に微笑みを与え

困っている友人を救うことができた

それだけのことかもしれないけれど

ほんの少しの間でも、人生が良くなったと云っていた。

 

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わたしもそんな風に生きていけたらいい

きみとみたすべての光をいつかみる夢の中で見たい

 

 

 

 

 

2月5日、F**K YOU

 

葉を揺するのが風だと知ったときから

花が向かっていくのが陽の光だと気付いたときから

誰も何も一人きりでは生きていないとわかった

上りかけの階段の途中でわたしに世界を教えてくれたのは

他の何でもない世界だった

 

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わたしの恋人は手を握って話を聴いてくれる

一緒にお風呂に入ったら背中をこしこしと洗ってくれる

細い体に長いドレッドヘアーとたっぷり蓄えた髭

手首から肘にかけて入っている森のタトゥー

わたしにないものをたくさんもっている人

自分のしたいことを哲学や信念をもってやっている人を

どうしてもわたしは好きになってしまう。

何とも言えない親密さを覚えてしまう。

わたしは恋人の謙虚なところも好いている。

 

きみの生活を知りたいの

わたしの生き様を見てて欲しいの

欲を言えば生きるのに積極的でないわたしの

手をとって共に生きていってほしい

 

わたしはきみに優しくしたい。

それはきみがわたしに優しいからなのだし。

わたしはきみの前でたまには強がりたい。

それはきみがカッコよく生きているから。

わたしはきみを守りたい。

それはきっときみが守ろうとしてくれるからだ。

 

’いつでも飛んでいくよ’

魔法の言葉

お守りのようにこころに留めている

 

きみが鳥なら本当にいいのに

わたしはかごなんかに閉じ込めたりしないから

自由に羽ばたいて

好きなように生きて

指をからめて世界を変えて

両手を広げてわたしをさらって

存在がわたしを抱きしめる

柔らかないのちでいい匂いのする獣

 

あきらめられきれなかった手の先にきみがいた

 

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