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3月14日、スケボーマン

 

今 行きたいところはにわか雨の降る暗くて深い夜の海。

熱のこもる体だけの発光するそこで、

すべて投げ打って煙草を吸いたいのだ。

この世界はひらかれているように感じることもあるけれど

卵の薄い皮に包まれている。今は。

 

ずっと前にきれいな思い出にしたはずの記憶が

わたしのこころをズタズタにするんだ。

想いなんて捨ててしまったのに、

いまだにこんな気持ちをぶつけてくるあなたを本当にすごいと思う。

 

ねえ、海に行きたいや。

何も考えられないくらい暑くてうだるみたいな

夏の真夜中の海はわたしたちの世界そのものだった。たぶん。

 

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書きたいことを書いていればしあわせなのか?

眠るだけでは、食べるだけでは、

生きていると満足に感じられない体を

頭をこころをバカヤロウと思いながら、

まだ、果てのない夢を見ている。

 

わたしの書く何かが誰かを救うことがあるとすれば

きっと間に合わなかったこともあるだろう。

あと一歩、叶わなかったことがあるだろう。

大切な時間に遅れてしまったわたしを

その誰かはゆるしてくれるだろうか。

そっと世界の淵に足をかけて

わざと踏み外したあなたが

首をくくったあなたが

どこにでも咲く春の花のように

儚くもうつくしくてそのことが今日も

わたしを世界につなぎとめる。

書くことを与えてくれる。

書くことを諦めさせてくれない。

だからわたしはあなたのいのちに感謝している。

こころから花束を贈る。

おやすみなさいと労いの声をかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

3月9日、All my Time

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春曇りの朝の中で、一晩かけても

朝は朝を見つけられなかったのだなあと思った。

レモン色と藍色のドラマチックな朝は夢の中。

 

さすがに心が参ってしまいそうだった。

今の時点の俺はクソだよ、とのたまう君の話を

暴走する列車か馬みたいだと思いながら聴いていた。

愚痴っぽくない、言い訳がましくない君の話に潔さを感じていた。

その評価を別に否定もしないけれど肯定もしないよ、と告げて

1度電話を切った。

 

わたしだって、もうこんな生活イヤだって

言ってしまえたらいくらか楽かもしれないのに

自分の人生に責任を持てなかったわたしのために

そんな言葉は用意されていない。

「生かしてくれてありがとう」の人生や生活に、イヤも何もないのだ。

心が荒んでしまいそうになるなあ。

だから口ずさむみたいに、シャボン玉飛ばすように、yeah,  my life is shit.

 

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「あらゆることをゆるしたい」と言いながら生きている

今のわたしがその言葉の通りなのだとその人は言った。

わたしもきっとその通りだと思った。

いつかの到達目標みたいなものではなく、姿勢の話だからだ。

 

幸せも不幸せもない場所に行きましょう

そんな言葉が今、

わたしの人生の文脈の、水脈の只中をほとばしっている。

 

 

 

 

 

3月2日、桜坂

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「あなたの前途に幸おおからんことを」

そんな言葉を両手で大切に渡して

心からのありがとうをお返ししてもらって

友だちはいいものだと思う春の薄明の日。

久しぶりに話す、近況を報告できる、いい距離感。

 

春眠暁を覚えず、とはうまくいったもので

春の眠りは心地よくて、どこまでも夢の中にいるようで

わたしの体はふわふわと舞っている。

窓を開け放して寝たら外の空気の匂いで目が覚めたから

世界は今日もやさしいなあ。

 

このあいだCMで流れていた桜坂を

懐かしくなって聴きなおしてみる。

「君よ、ずっとしあわせに」

それはもう、本当のことすぎて

季節の移ろいに流されても

時間の流れに押されても

わたしの胸のうちにあるのはそれだけだ。

決して、付き合いがうまいわけではないわたしの

それでも大切にしているこころそのもののようで

ふふふ、とひとりその気持ちをまた胸にしまった。

 

声のない風景はしあわせだったこと。

そのように思う。

その声をもう、忘れてしまったけれど

風景がわたしをどこへでも連れて行ってくれる。

 

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生活に追われて恋をして

書くことなんて忘れちゃいそうだ、なんて

思いながらも書いてしまうのは

この場所がわたしの生活の場でもあるからなんだろうな

 

3月がやってきて冬と春は仲がいいと感じて

街をぐんぐん歩いてやろう、

くったりと疲れてしまうまで働いてやろう

恋人に今日も好きだよと伝えよう

今日も生活に追われよう

ワクワクするなと思う。

 

浮き足立つこころを大切にして

わたしにもあなたにも幸おおからんことを。

2月24日、ごめんね

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今日も誰かが「この世界は素晴らしい」って歌ってる。

救いがあるとすれば、それはみんないつかは死んでしまうことだ。

今日会うあなたにセイ・ハロー

今日愛したあなたにセイ・グッドバイ

だからあなたはびゅーてぃふる。

 

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自分のやりたいこととか、その仕事の本質とか、

それがこれからどんな風になってくのかとか。

飛び込む前にじっくり考えることができる時間を持てること自体、

とても有難いことだと思う。

 

ずいぶん日差しが強くなってきていても、

どれだけ水がキラキラと気持ちの良い夏色でも

海開きの日の海の水はいつも冷たかった。

そんなことを知らなかったときは、とても驚いたものだけど

今は知っているから上着だってしっかり持っていく。

 

冬の海は寒くても、日差しがあれば乾いたサラサラの砂は熱を溜め込んでる。

知らずに裸足になったときには、感動したけれど

今は知ってるからその温かさを信じている。

 

知ることで用意周到になり、行動や仕草にバリエーションが増えたけれど

知る前の夏がきたワクワクした気持ちは はかれないほど素晴らしいものだったし、

 

 

飛び込んだら飛び込む前にはどうしたって戻れないことを知っているから、

もう戻ってこなくなる過去が、今あるうちからもう恋しい。

知ってしまうことを知っているから、知らない今が愛おしい。

 

 

 

 

2月17日、波よせて

 

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AM7:03

 

昨日の夜、職場のおばちゃんがくれたケーキと

淹れたてのコーヒーを飲んでたのが真夜中の2時だった。

苺のロールケーキとモンブランを半分こずつ食べて、

ぬくい部屋でうとうとと夢とのあわいを行き来するきみを

心底いとおしく思いながら、わたしも眠くなるのを待っていた。

まるでお母さんみたいな気持ちでぎゅう、ときみを抱きしめる。抱きとめる。

ここにいたら悪いことはまるで起きないのだから、きみは安心して眠るといいよ。

疲れた体も、もやもやするこころも、今は置いておいていい。

そんなことを思っていた。

 

わたしはどうしても長く眠れない。

だから隣の部屋で気持ちよさそうに眠るきみを

ずうっとくっついて眠っていたきみを

少しの間だけ手放して、わたしは今ひとりパソコンに向かっています。

 

裸で抱き合うと原始の風景が見えるねなんて言いながら

2月の朝方は冷えていて、私たちはまた服を身に纏った。

これも原初の風景なのかもしれない。

 

きみの自由なところが好きなんだ、わたし。

「そういう風に生きたいならば、そういう風に生きればいい。」

その姿勢が、頑なさが、わたしをわたしの人生の旅にいざなう。

たった一度きりの人生を波に乗るようにサバイヴするきみを

わたしはどうしても守りたい。きみの自由を守る存在でありたい。

自由であることは、貫くことは、たまに孤独で、たまにむつかしい。

認めてもらえないことや、偏見に晒されることもきっとあるけど

わたしだけはきみの味方でいようとこころに決めている。

きみがどこかに旅に出てしまう時、きっと寂しいけれど

わたしだけは笑っていってらっしゃいって大手を振れるように、と願う。

「きみは素敵だよ」

それだけをこころで、からだで、あらわせられたらいいのにな。

 

いつも全力で遊んで疲れきって

気づいたらくっついて記憶もないままに眠ってしまうわたしたちは

雪崩れ込むようにして恋をしている最中なのに、とても穏やかだ。

キスも体を重ねることも忘れてぴったりとしか言いようのない

同じ水場で一休みする異なる匂いのする獣となって

ぐうすか、と寝てしまう。

安心はこんな風に訪れるのかとこころが震えてしまう。

 

ねえ、本当に会えてよかった。

大切で愛おしいきみに。

きみに、心から花束を贈ろう。

 

そしてひとり冬眠に最適なあたたかな布団の中に

残してきた愛くるしいきみを抱きしめに

わたしもふたりの穴ぐらに戻ろう。