tayutauao

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12月24日、あるゆえ

わたしにはきみのはねた髪で十分です。 ( 真剣な疑問や誰にもわからない本当のこと。 あるいはきみがよく知ってること。 きみだけの無音の時間も、 やさしくされたいきみのあつい頬も、 ほんとうに生きてる瞬く間も、 そうでない平凡な5秒前も。 ) きれいだ…

12月24日、Listen In The Time

傘をさしても 濡れてしまうような 雨の降る夜もあったね 鉛を溶かしたような低い空と 夕方オレンジのネーブルが ぐちゃっとしたあの空に ねえ、かみさまはいたのかな 明けないんじゃないのと おもった夜は いくつもあったのだが 今のところ 明けない夜は こ…

12月23日、死がふたりをわかつまで

「生きることや死ぬことにそんなにこだわるのが僕にはわからないな」 窓からのぞく空が白い それは干しっぱなしのシーツや 洗濯用のハンガーと同じような色をしていて 青が群がっていた日のことなんて忘れてしまいそうだ これは書いてしまうと本当になってし…

12月22日、Pinky

何をしたら幸せになれるのか あいかわらずわからなかったから ばらの花がぶっきらぼうに突っ込まれた花瓶の水を替えた 今は明け方なのだけど まだ太陽は昇らなさそうだ 冬だからかな。冬だからだろうな。 ぼんやりと過ごす4時半の部屋に 友達の寝息が電話越…

11月4日、For Sure

夢の旅を続けていたら ふと死んでいることに気づくことがある。 コポコポコポコポと砂が湧く海の底で漂っていたら どこにも帰れなくなっていた。 日々を残すために始めたはずのblogを3ヶ月放ったらかして どこにいたのでしょうと思ったけれど、 blogに「な…

8月11日、世界でいちばん美しい村

大きなものに触れているようで 懐かしく身近なものに触れていた 悲しみに触れているようで さいわいに触れていた とてもフラットな気持ちで観たのに このなんとも言えない気持ちはどこから来るんだろう 「とにかく感じて欲しい」と言われていた数時間。 深刻…

8月4日、ROLLIE

目を閉じると全てが青くなる。 夏の薄明の濃い青は、 いつかの異国で見た空の色。 「どうしても泳げなかった海の青に4時間を足した色」をしている。 窓からぞうっとするような、海が忍び込んでくる。 空気にふんだんに含まれた水が肺にたっぷりと入り込んで…

8月1日、RE-雨

つまずいてしまいそうな日々の中で手を取ってくれる人の存在をおもう。

7月28日、窓をあけて話をしよう

にわか雨のあと おっきな背中に 顔をうずめて これでもか、と おおきく息をすう うすまったソーダのにおい 宇宙のにおいと勘違いするような。 宇宙はどんなところだろう 上とか下とかあるんかな? 酸素がないってどんなんだ? もぐれたりするのかな? あたた…

7月28日、september

通院している病院の待合室で 「ボクたちはみんな大人になれなかった」を読みながら、 わたしも恋を、思い出をこころに温める。 懐かしい痛み。愛しい記憶。 そういえば今日、昔の恋人はフジロックに行っている。 いつか行こうね、と言っていたのは遥か昔。 …

7月25日、カブトムシ

こんばんは。 今年も驚くほど、暑い。 ジャックピアソンの撮ったスイカの写真がどうにもエロくって わざと音を立てて、手指から水滴を滴らせて、それをむさぼるように食べてみる。 あと1ヶ月したらまたひとつ歳をとる。 「死」という名の「生の完成」が近づ…

7月13日、夜に失くす

夜が来るのがこわいという感覚は久しぶりだった それはきっとこれからやってくる季節があまりにも生々しいから。 立ちのぼってくる土の匂いとか、風に揺れる草の匂いがふんだんに混じった 湿度のこもった、さながら水みたいな空気が柔らかくわたしの喉を刺す…

7月7日、さよならミッドナイト

「どうして人は思いを伝えるんだろう」 「どうして人は思いを伝えないんだろう」 日付が変わって今日は七夕らしいけれど 織姫も彦星も毎年雲の中で会う約束をしている わたしはホッと笑みを浮かべる 恋人たちが会うのは夜の帳の中がいいし ましてや年に1度…

6月16日、ラストデイ

わたしの目の前にきみがいる。 きみは、あたりまえじゃんって笑うかもしれないけど 目の前にいるきみは、目の前にしかいない。 きみの存在のすぐ隣には、きみの不在が横たわる。 世界を見渡してみる。 どうしたって、いつだって、 「きみがいること」と「き…

6月15日、魔法の料理

きみの願いはちゃんと叶うよ たのしみにしておくといい これから出会う宝物は 宝物のままで古びていく パパのひざの温度は もう忘れてしまったね、 あたたかかったこと もちろん覚えてる ママを見上げて 頭を洗ってもらった 目に入った泡の痛さも 忘れてしま…

6月14日、Tiny Tiny Tiny

糾弾し続ける、 憎悪 の 指。 背をこごめ、 逃げ去って行くのも、 ぼくの後ろ姿 。 あれ以来、 空飛ぶ夢も、 いっこうに楽しい ものではなくなった 。 地球の 引力から 逃れても、 いずれ 泳ぎ続けるのは、 涙の海 。 安部公房

6月3日、いかれたBABY

どういうことがさいわいなのかを知っていた。 生まれる前から、ずうっと前から知っていた。 「限りなく透明に近いブルー」を身にまとって いつもどこかに忘れ物をしてきたような気持ちになる。 そこに着いたのは日が暮れるほんのすこし手前。 波と風の音がど…

5月18日、YOU

俺たちが考えることをやめていたのは、軍事的戦略のことだけじゃなかった。静かに物思いに耽る瞬間、ありえた可能性や、別の場所に続いていたかもしれない道について考える瞬間も俺たちは自粛していた。 過去を振り返って、別の恋人や町について考える瞬間。…

5月15日、peace

愛された事実と、愛した事実と。

5月12日、Slight Slight

太陽がそろそろとてっぺんに昇るまでの間 そしてまた静かに濃紺へと変わりゆくまでの間 わたしたちはいつも、いつまでも、はじめてを生きる。 はじめまして太陽。はじめまして星。それはワンダー。 朝の光にさらされて 大気を揺らす風に驚かされて 寝ている…

5月11日、うまく言えないけれどわたし、あなたとはなしがしたかった

あこがれているものがある。 きっとこれからもずっと変わらないもの。 信じつづけているものがある。 ときどきわたしを悲しくさせるもの。 水をたっぷりと含んだ空気の手ざわり。 土のにおいのするコンクリートのあの天才みたいな質感。 きのうの雨は晴れた…

5月4日、やさしさで溢れるように

とびきりの何かに出会える瞬間を それがありきたりだろうと当たり前だろうと 青い空だろうと白い雲だろうと 洗いたての洗濯物だろうと お風呂上がりのふわふわの髪だろうと それらを自分だけのものにできた時 琴線が、ふるえて、ふるえて こころが地平線や水…

5月4日、audition

わたしのことばは、どこまでいっても 誰かに伝えたいことばじゃない 残したいことば けれどその強度を信じている ことばの全てがわたしを挑発する 春はいけない やはりいけない 浴びせかけられる言葉のシャワーに溺れて 口はパクパクと魚のごとき虚空を噛む …

4月20日、雪と砂

「いちばんとんでもないのはあなただわ」 なーんもやらない なーんもしてこない 学校にもこない けど見つけちゃったんだなって。 行ってしまったんだなーって。 それで学校に来なくても構わないのよ。 見つけちゃったんだから、それ以外できなくってもいいん…

4月16日、通学路

あのころ肺に一生懸命吸い込めていた空気が 幻だったかのようにこの体をあたためている 愛想笑いで過ぎていく日々もいつの間にか過ぎて はらはらと舞う、今日という式日 明日のことなど考えずに眠る猫の健やかな体 味気ないのは作りかけのご飯 言って欲しか…

3月25日、のうぜんかつら

働いているところの事務所には 「好きになれば何事も続けられる」という言葉がかかっている。 少し乱暴なその言葉に、ぱっと励まされることがある。 素直なものだ、と乾燥しきった肌を撫でる。 夢を追いかけることにしたら、生活にメリハリがつくようになっ…

3月4日、voice

今日はとてもとても暖かくて、動き出す 桜色の服と薄いグレーのパーカーを羽織って、動き出す 髪はくるくると寝起きのままで、動き出す 明日乾く涙を拭わずに、動き出す 何にも考えずに、体だけになることは難しいこと? 宇宙的なスケールで、あたまを揺らす…

3月1日、17歳

いろんなところがいたくって うまくねむれないそんな夜 あの子のなだらかな肩が わたしの地平線だった頃 まるで幼いままの反逆精神で どこへも行けないと知りながら どこまでも歩いたあの日 だれかに愛されたくって それ以上にだれかを愛したかった 生きづら…

3月1日、僕らしさ君らしさ

とびきりの3月 ささやかな春の匂い だからというわけではないにせよ リビングに咲いてはったカーネーションを 何輪か摘んで部屋の流木に吊るした コットンフラワー 紫陽花 バラ かすみ草 ユーカリ ドライフラワーは好きだ 触るとぱらりぱらり 繊細な出で立ち…

2月28日、神様

朝には朝の 夜には夜の 何もできなかった 何者にもなれなかった 続けてきたことは ただ、書くこと 読んできたものは 時に友人のようにわたしを支え 時に聖母のように暖かく拾い上げ、救い上げ 時に悪魔のように孤独の淵へわたしを追いやった。 好きな本に、…