6月8日、ランデヴー
妹を不思議だな、と思う。
自分だけで深く頷くために立ち向かってきた目には、宇宙の全部が詰まってる。
体を通り抜けてった未練のない光の軌跡をすべて記録したレコード盤みたいだなあとおもう。
次の瞬間には何か別の生き物のように見えてきて、
わたしはそのうつくしい生き物の姿をいつしか惚れ惚れと見つめてしまう。
( そういう時、たいがい妹もわたしのことを同じような目で見ている。
彼女の好奇の目はいろいろを飛び越えてやってくるのだけど、
その近さはゆるしあうわたしたちの間にだけ成り立っている気がする。)
それから決まってハッと我に返る。
そのあとにいつも、少しだけ足がすくむ。
果てのないように感じるからだ。
生きることを携えた目は、1番ちかいのに1番とおい。
この目はきっと知っている。
ほんとうに生きてる瞬く間とか、そうでない平凡な5秒前を。