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tayutauao

text / photo

3月2日、THE ROSE

 

やりたいとおもっているのにそこ止まりで、誰も思い出さない9月の海に浮かぶクラゲみたいな気持ちがしている。

どこにもいけない行き止まりじゃあない。海はひろい。けだるい。

ぶつんと砕けたり、トロトロにとけてるようなクラゲになってしまうというのは、あんまりいい気持ちがするものではない。

昼下がり。パラソルが減ったビーチ。沈んでしまったシュノーケルの忘れ物。

 

 

 

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ほんとうは雪国にいる。

ここ2,3日はあたたかくて雪は降らなかった。

積もった雪もだいぶ、解けた。

わたしは「解ける」という漢字を使うけれど、妹は「融ける」という漢字を使う。

化学とか物理とかやってた妹が使う「融ける」は理科の実験みたいに響いていい感じだ。

わたしたちは車のライセンスを取るためになぜか雪国にいて

目的同じくして居合わせた、入れ替わり立ち代わるたくさんの女の子と男の子に混じって1日を過ごしている。

 

 

ここでの生活はすごくハードだ。

朝は5時に起きて、6時半のバスに乗って7時から教習が始まる。

朝9時に教習が終わってしまう日もあれば、夜の8時まで教習がある日もある。休みはない。

休憩なしというわけではないので、空き時間にテスト勉強をしたり、教習所のコースを壊れたコーヒーカップみたいに回るナンバープレートのない車を眺めたり、映画を観たり、写ルンですのチープなシャッターを押したり、本を読んだり、昔の恋人の写真をみてみたり、絵を描いたり、晴れてても降る雪を眺めたり、突っ伏して寝たり、それぞれに好きなことをして時間の過ぎるのを待っている。(今は目の前で妹がおにぎりを頬張っている)

 

 

映画は4-5本観た。

好きなものもあったし、そうでないものもあった。まあまあだ。

本は重いのもあって3冊しか持ってこなかった。

村上春樹の短篇集『中国行きのスロウ・ボート』とドストエフスキー罪と罰』上下巻。

春樹は最近になって読むのがおもしろくなってきたしこの短篇集は知り合いが勧めてくれたから持ってきた。

ドストエフスキーは閉鎖的な雪国のどんよりとした寒空と、退屈そうな毎日に合いそうだなと思ったから持ってきたのだけど、まあなんというか、ドライブはえらく神経をつかう。とても活字を追う気にはなれなくて、結局のところ本には手を付けずに新聞を読んでいるだけだ。

 

 

宿舎は普通のアパートで、わたしたちは自炊をしている。

役割分担をして、夜ごはんはわたしが作り、朝は妹。

ひどい低血圧でそもそも朝に弱いわたしは5時40分頃に起きて、

焼いてもらったトーストを齧り、紅茶を飲んでから着替えや化粧をする。

妹はわたしが起きるまでの40分の間に身支度を終えて、朝ごはんを用意し、家を出るまでに洗い物を済ます。

とてもとてもありがたいなあと思う。

 

 

幸いなことに、

わたしたちは朝起きてから夜眠るまでよく笑っている。

まだわからないけれど、免許も無事にとれそうだ。

 

 

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とにかくやってみようとおもったのにはわけがある。

これは1つの実験であるといえるかもしれない。

話すと長くなるので簡単にいうことにするけれど

「まんまと罠にハマってやろう」というわけだ。

あるいは「唯一価値のある戦いに挑むため」とも。

大したことじゃない。けれど、本気。

きっと何も起こらないし、起こす気もない。だけど、ふつふつと本気なのだ。

どうせならばさながらクラゲのように

あんまりあれこれ考えずにとにかくやってみようと思う。

どこかへ漂着するかもしれないし、漂い続けるだけかもしれない。

それでもきっと「オーケー」といえるだろう。