11月28日、レモンキャンディー
この時期、夕方5時手前くらいになるともう日が落ちて、空が暗い。
学校帰りの家までの道で、いつも絶対に顔をあげて歩く道がある。
暗くなってからだと、星がよく見えるのだけど、天気のいい日はほとんど毎日、
星座の間を縫うようにして、流れ星みたいに飛行機が飛んで行くのを見とめる。
飛行機はいつも同じ方向に飛んで行く。いつも同じ方向に飛んで行く飛行機を見ている。
指で軌道を沿わせてる今向こうへ飛んでった飛行機から、わたしの住んでいる町は見えるのだろうか。
山間に点々と続いていく東名高速のオレンジが見えるだろうか。
あれだけの高さから見下ろせば、きっと海も見えるだろう。
何度か飛行機に乗ったこの間の旅で、夜に離陸する飛行機から見下ろす景色はとてもきれいだった。
カンボジアは人が住んでるのかしらと思うほど、ほとんど真っ暗だった。
上海は全体的にオレンジの光が充ちて、思っていたよりも整然とした街だった。
同じように今わたしの上を飛んでいく飛行機の窓から、誰かがこちらを見ているかもしれなかった。
お風呂に浮かべたおもちゃの船のような小さな広がり方で、
この町が、この国が、上空からはどんな風に見えるのかを頭に浮かべることができる。
(2013.11.05)
***
去年の秋は素晴らしかった。
まいにちをさながら旅のように生きられればいいけれど
そういうわけにもいかず、いまわたしは旅に出たい。