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tayutauao

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8月2日、さかなを待つ間の物語

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さかなのあくびが見たくって

2人、つれないさかなを待った夜。

 

あやとりするみたいに話をした

きみ。わたし。きみ。わたし。

 

とちゅうで大きな貨物船が

ボー、と鳴きながら過ぎてゆく。

 

 

「冬に洗濯物が乾かない感じはあれだね、報われない恋のようだね。」

 

 

ひるまの太陽のつよすぎる光に

そうっとうつむくような仕草をして

時々ちら、と盗み見たきみのこと。

 

投げかける視線のひとつは大きな波。

駆け出した先に濃ゆい青。

きみはキレイだ。

キレイなことはステキだ。

 

 

 

きみが足をひたした海はきっと冷たかっただろうね。

冷水は水よりも冷たいのだろうけれど

それよりも、きっともっと冷たかったろうな。

 

きみがざぶざぶといった海はきっと深かっただろうね。

深海は海よりも深いのだろうけれど

ねえ、きみはそれよりもっと深んだところにいるの。

 

つめたいみずの向こう

ふかいうみの底のそこ

 

冷水よりつめたい水をあらわす術も知らず

深海よりもふかい海をつたえる言葉も知らず

言葉にならないキレイさを言葉じゃなく教えてくれた

遠ざかってく光のきみに、見惚れていたけれど

 

海の水の冷たさを、おどろきを、知ったその足

わたしがあたためて、そのぬくもりにきみがふれたら

その水がただの冷水よりもつめたかったことを

わたしたちは知るのだろうか。

 

ただ飲み込んでく海の深さを、光届かぬ場所を、知ったその体

わたしがのぞいて、ときに潜ったのなら

きみへ傾くわたしの精密さがきみをはかって

深海よりもふかいとこにいるきみに、それを教えるだろう。

そんな場所があることを、わたしもきみから教わるだろう。

 

 

 

「きのうのよる ふと、目が覚めて

 だれかと目が合ったような気がしたんだあ。」

 

そう言ってきみが何気なくふれたわたしの頬。

きみがさわったとこの色が変わったみたいな気がした。

 

ひるまの太陽のつよすぎる光に

そうっとうつむくような仕草をして

時々ちら、と盗み見たきみのこと。

 

とちゅうで大きな貨物船が

ボー、と鳴きながら過ぎてゆく。

 

あやとりするみたいに話をした

きみ。わたし。きみ。わたし。

 

さかなのあくびが見たくって

2人、つれないさかなを待った夜。