10月9日、P.S
花に触れた指先がくすぐったい
部屋を渡って行く風があまりにも躊躇なくて
私はなんだか苔むしたようなそんな気持ちになる
名付けられた世界にあまり興味がない
あなたのここが好きです、とか伝えるのが下手くそなタイプ
興味があるのはその間にあるもので
だってそこには限りない宇宙が広がっていて
足掻いてニュアンスとか手触りを記録してくのが好き
いつも確かな手触りはあるんだな
それを言葉にできないだけで
*
傷つけたくない、と言われた夜があった
でも好きだから傷つくよ、と言った。
傷ついてたってへいちゃら、とも。
そんな優しいことを言うのは君ぐらいだと思った。
そんな愛おしくなることを言うのは君ぐらいだと思った。
気づいたらわたしの中、君ばっかりになっていた。
*
何を憎まずとも、過ぎ行く秋のように
愛している時間だけでも生きるのには短すぎるね