5月4日、audition
わたしのことばは、どこまでいっても
誰かに伝えたいことばじゃない
残したいことば
けれどその強度を信じている
ことばの全てがわたしを挑発する
春はいけない
やはりいけない
浴びせかけられる言葉のシャワーに溺れて
口はパクパクと魚のごとき虚空を噛む
溺れるほどのたしかな言葉
渡しそびれた想いが
もう行く場所なんてないのに
どこまでもいつまでも
貝殻を耳に当てた海鳴りのように
うるさくてうるさくて
今はまだどこへも行けそうにない