tayutauao

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2月17日、波よせて

 

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AM7:03

 

昨日の夜、職場のおばちゃんがくれたケーキと

淹れたてのコーヒーを飲んでたのが真夜中の2時だった。

苺のロールケーキとモンブランを半分こずつ食べて、

ぬくい部屋でうとうとと夢とのあわいを行き来するきみを

心底いとおしく思いながら、わたしも眠くなるのを待っていた。

まるでお母さんみたいな気持ちでぎゅう、ときみを抱きしめる。抱きとめる。

ここにいたら悪いことはまるで起きないのだから、きみは安心して眠るといいよ。

疲れた体も、もやもやするこころも、今は置いておいていい。

そんなことを思っていた。

 

わたしはどうしても長く眠れない。

だから隣の部屋で気持ちよさそうに眠るきみを

ずうっとくっついて眠っていたきみを

少しの間だけ手放して、わたしは今ひとりパソコンに向かっています。

 

裸で抱き合うと原始の風景が見えるねなんて言いながら

2月の朝方は冷えていて、私たちはまた服を身に纏った。

これも原初の風景なのかもしれない。

 

きみの自由なところが好きなんだ、わたし。

「そういう風に生きたいならば、そういう風に生きればいい。」

その姿勢が、頑なさが、わたしをわたしの人生の旅にいざなう。

たった一度きりの人生を波に乗るようにサバイヴするきみを

わたしはどうしても守りたい。きみの自由を守る存在でありたい。

自由であることは、貫くことは、たまに孤独で、たまにむつかしい。

認めてもらえないことや、偏見に晒されることもきっとあるけど

わたしだけはきみの味方でいようとこころに決めている。

きみがどこかに旅に出てしまう時、きっと寂しいけれど

わたしだけは笑っていってらっしゃいって大手を振れるように、と願う。

「きみは素敵だよ」

それだけをこころで、からだで、あらわせられたらいいのにな。

 

いつも全力で遊んで疲れきって

気づいたらくっついて記憶もないままに眠ってしまうわたしたちは

雪崩れ込むようにして恋をしている最中なのに、とても穏やかだ。

キスも体を重ねることも忘れてぴったりとしか言いようのない

同じ水場で一休みする異なる匂いのする獣となって

ぐうすか、と寝てしまう。

安心はこんな風に訪れるのかとこころが震えてしまう。

 

ねえ、本当に会えてよかった。

大切で愛おしいきみに。

きみに、心から花束を贈ろう。

 

そしてひとり冬眠に最適なあたたかな布団の中に

残してきた愛くるしいきみを抱きしめに

わたしもふたりの穴ぐらに戻ろう。