tayutauao

text / photo

3月2日、桜坂

f:id:tayutauao:20180302134734j:plain

 

「あなたの前途に幸おおからんことを」

そんな言葉を両手で大切に渡して

心からのありがとうをお返ししてもらって

友だちはいいものだと思う春の薄明の日。

久しぶりに話す、近況を報告できる、いい距離感。

 

春眠暁を覚えず、とはうまくいったもので

春の眠りは心地よくて、どこまでも夢の中にいるようで

わたしの体はふわふわと舞っている。

窓を開け放して寝たら外の空気の匂いで目が覚めたから

世界は今日もやさしいなあ。

 

このあいだCMで流れていた桜坂を

懐かしくなって聴きなおしてみる。

「君よ、ずっとしあわせに」

それはもう、本当のことすぎて

季節の移ろいに流されても

時間の流れに押されても

わたしの胸のうちにあるのはそれだけだ。

決して、付き合いがうまいわけではないわたしの

それでも大切にしているこころそのもののようで

ふふふ、とひとりその気持ちをまた胸にしまった。

 

声のない風景はしあわせだったこと。

そのように思う。

その声をもう、忘れてしまったけれど

風景がわたしをどこへでも連れて行ってくれる。

 

f:id:tayutauao:20180302134714j:plain

 

生活に追われて恋をして

書くことなんて忘れちゃいそうだ、なんて

思いながらも書いてしまうのは

この場所がわたしの生活の場でもあるからなんだろうな

 

3月がやってきて冬と春は仲がいいと感じて

街をぐんぐん歩いてやろう、

くったりと疲れてしまうまで働いてやろう

恋人に今日も好きだよと伝えよう

今日も生活に追われよう

ワクワクするなと思う。

 

浮き足立つこころを大切にして

わたしにもあなたにも幸おおからんことを。