tayutauao

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12月24日、あるゆえ

 

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わたしにはきみのはねた髪で十分です。

( 真剣な疑問や誰にもわからない本当のこと。

 あるいはきみがよく知ってること。

 きみだけの無音の時間も、

 やさしくされたいきみのあつい頬も、

 ほんとうに生きてる瞬く間も、

 そうでない平凡な5秒前も。 )

 

きれいだな。

 

その髪の自由がわたしには感動です。

きっと、そっと触れてすべてをゆるしてしまうなあ。

きみがボロ、とこぼれおちた夜のことも、

きみが朝の空気をすっかりためこんだまあたらしい肺の膨らみも

知れるような気がするんだ

 

 

 

 

 

12月24日、Listen In The Time

傘をさしても

濡れてしまうような

雨の降る夜もあったね

 

鉛を溶かしたような低い空と

夕方オレンジのネーブル

ぐちゃっとしたあの空に

ねえ、かみさまはいたのかな

 

明けないんじゃないのと

おもった夜は

いくつもあったのだが

今のところ

明けない夜は

この世界にはない

 

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今は朝で、

こんな時間に起きて顔を洗って歯磨きをして珈琲を淹れて

昨日の夜の食器を洗い終わって洗濯機も回して、だなんて

わたしにとってはとても稀なことをしている。

いつもこれくらいの時間にようやく眠りについて

昼頃のそのそと起きているのだから変な感じだってするよね。

世の中の人はすごいなあ、と思います。

お弁当を作るために早起きするお母さんとか、

学校や仕事に行くために何回もかけた目覚ましでようやく起きる友達とか、

暑かろうが寒かろうがそれが当たり前だから犬の散歩に行くおじいちゃんとか、

みんなすごいよね。すごいなあ。

毎日を始めることそのものにとてもエネルギーを使っていて

そのために夜はぐっすり眠ったりして

その健やかな営みに恍惚の類のため息が出てしまう。

 

朝は苦手だったんだ。

特に夜明けが。

値踏みできない夜の濃紺と

薄明の絵の具でさっと塗ったような青が混ざり合った時間は

美しすぎて鬱陶しかった。

美しい、と思えるものは大抵この世のものだけれど

美しいはときに乱暴で狂気的だ。

何億ともつけられないあの青を

高校生の頃の友達は絵の具にしてチューブの中にずず、と吸い込みたい

それから部屋中に塗りたくりたいなんて言ったものだけれど

わたしには出来そうもないなあ、なんて懐かしく笑う。

 

思い出の話はいつもあたたかいね

思い出の話が大好きだ。

でも、そればかりしていたら

ずっと大切に着ていたはずなのにいつの間にか少しよれてしまった洋服みたいに

大切であたたかくて美しい思い出もよれてしまうのかもしれない。

衣替えするみたいにたまに引き出しから出すくらいが

ちょうどいいのかもしれないな、なんて思ってる。

 

自分のために書いているこのblogだって

昔話ばかりするのはやめようかなあと思う。

いつも過去はすぐそばにあるから、

もう今となってはうまく思い出せないことや

ちょっとした優しい思い出なんかが

わたしのすぐ隣にいるから

それは切っても切り離せないものだから

明るい未来の話ばかりしようだなんて思っているわけではないにせよ

今を生きているのも確かだ。

人生の美しいと言える営みは今日だって続けられている。

だから、今日の話を、明日きっと起こるいいことの予感を

少しずつ残せていけたらいいなと思っている。

 

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今からあの子やあの人に手紙を書こう。

わたしの大切な友人たち。

たまには今日はいい日だったなって思えるような

素敵な1日を自分で作ってみるのもいいかもしれない。

 

 

 

 

 

12月23日、死がふたりをわかつまで

 

「生きることや死ぬことにそんなにこだわるのが僕にはわからないな」

 

窓からのぞく空が白い

それは干しっぱなしのシーツや

洗濯用のハンガーと同じような色をしていて

青が群がっていた日のことなんて忘れてしまいそうだ

 

これは書いてしまうと本当になってしまいそうで

言葉にしてしまうとそれだけのものになってしまいそうで

書きたくないし、嫌だし、それっぽっちの話ではないんだけど

わたしには今も拭えない気持ちが確かにある。

許したい気持ちはずっとあるのに、許せないでいる。

怒っていて、悲しくて、寂しくて、嫌いで、好きで、愛している。

人と同じ生き方なんてまっぴら!と尖っていたわたしが

人並みかもしれないつつがない人生の柔らかさを受け入れようとしたことも

愛されたから愛することを知れたんだなって後になってから気づいたことも

死にたくなるほどひとりじゃ生きていけないと思ったことも、

殺してやりたくなるほど誰かを強く想うことも。

全部全部教えてくれた人が、確かにいたのに。

もう、夢みたい。

 

「こだわり」なんて格好のいいものなんかじゃなくて

「とらわれている」だけなんだけどなあ、と思う。

崖の淵をそろそろと歩いているような人生の只中で

踏み外せば途端に死んでしまいそうな生活の只中で

呪いをかけられたと思っていたけどかけたのは私だった

あなたと私が一緒にいたことを今はもういないあなたの分まで

覚えていられるのが私だけなら、私は喜んでその呪いにかかっていようと思う

 

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「あなたは何も悪くないよ」と夢枕に立つあなたにも言いたい

あなただって何も悪くなんてなかったんだ。

 

 

 

 

 

12月22日、Pinky

 

何をしたら幸せになれるのか

あいかわらずわからなかったから

ばらの花がぶっきらぼうに突っ込まれた花瓶の水を替えた

 

今は明け方なのだけど

まだ太陽は昇らなさそうだ

冬だからかな。冬だからだろうな。

ぼんやりと過ごす4時半の部屋に

友達の寝息が電話越しに響いている。

「おやすみ」

そう言ってから30秒もたたないうちに

すやすやと眠ってしまった彼女の健やかさに心から安心したから

電話を切れずにいる。

今、生きている人と一緒に時間を過ごすのは少しだけつらい。

でも、ひとりでは生きていけないから

誰かの生きてる音や匂いや存在を感じとることのできる

この空気をとてもとても愛おしく思っている。

 

つたない言葉の足取りがどこに行くのかわからなくても

そこが天国みたいなところじゃなくてもいいかなって思ってるんだ

 

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あなたもわたしも

こんなにもただ生きている日々が自分や誰かの生活をあたためられますように

 

わたしもあなたも

終わらない戦いの日々がきっと来る明るい未来につながりますように

 

 

 

 

 

 

 

 

11月4日、For Sure

夢の旅を続けていたら

ふと死んでいることに気づくことがある。

コポコポコポコポと砂が湧く海の底で漂っていたら

どこにも帰れなくなっていた。

 

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日々を残すために始めたはずのblogを3ヶ月放ったらかして

どこにいたのでしょうと思ったけれど、

blogに「なんだか気持ち悪い」というコメントをもらって

わたしはそのことを考えていたのかもしれない。

「なんだか気持ち悪い」というのは普通に考えればきっと誹謗中傷で、

きっとその言葉の通りにコメントをもらったのだろうから

額面通りに受け取ってちょっと落ち込んでみたり、

はたまた別にいいじゃないかと開き直ってみたりするのがいいのだろうと考えたりした。

けれど、いやな気持ちにならなかった。

気持ち悪いという感覚を、わたしは好ましく思っていると知る。

知らないものに出会った時に感じることのひとつだったりするからだろうな。

コメントをくださった方には気を悪くされたのならごめんなさい、と言いたい。

でもそれよりもありがとうございます、を言いたい。

言葉が放たれることによって立つ波のことを忘れたくはない。忘れてはいけない。

 

「わたし」がまだ「あたし」だった頃。

きっちりと折り目のついたスカートに紺色の靴下を履いて膝小僧を覗かせていた頃。

その時に行ったきりだったライブハウスに昨日、行ってきた。

大学生のとき友達になって一緒にカンボジアに行った男の子のバンドのライブだった。

「元気にしてた?」って会ったときはいつも一言目に同じ言葉をかけてくれる。

再会が嬉しかった。

4年ぶりに会った彼は変わっていないように見えたし、

わたしも変わっていないように見えたかもしれない。

日々が連なって、降り積もって、地続きの今日を迎えて、

彼にもわたしにも、いろんなことがあっただろうけれど

「懐かしいなあ」と過去を引き寄せるわけでもなく、また会えたことが嬉しかった。

きっとまた会えるといいなあと温かい気持ちで家に帰ってきた。

 

なんだか気持ちに整理がつかないなあとか思いながらも安心している。

いつも、うまく言えないことを残しておきたい。

なんどもなんども同じことを言いたい。

繰り返し繰り返し、言いたい。

それってどういう営みなんだろうって問うていたい。

言葉がカッコつけ始めたら、想いはひとりぼっちだぞって口に出してみた。

カッコつけたくなる時もあるんだけれど、今はいい。

リハビリをするみたいにわたしとお話しをしながら、キーボードを叩いている。

 

深呼吸をしてみたら

ほんのすこし勇気が欲しいなって思った。

背中を押してくれるのは最後には自分なのだろうけど

風を感じるようにしている。

体をゆだねてみたら自然と足が動きだす。

忘れそうになることの輪郭をそっとなぞって形を確かめる。

よし、と思う。

 

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こんなふうに大人になれないなら

今日のことはやっぱり覚えておかなくちゃ

おやすみなさい