2月22日、今度までには
身のまわりにフランスが溢れていた。
ねぎさんとつくったマルセイユ石けん
芝居のセリフは「モンマルトルの丘で・・・」
好きなあの子の傘の柄
イガラシさんと観に行った展覧会のシニャックの絵
レヴィ=ストロースの書き付けた港のこと
シニャックの絵のモザイクみたいなうつくしい点描が
マルセイユの朝とか船とか描いている。
すこしだけ長い時間をその前に立って過ごし
ひとつ、ふたつと引き出しをあけてその朝を組立ててゆく。
こんな日々がまたふとやってくることはあるのだろうか
それともわたし次第なのでしょうか
ここにいると自分からなーんもでてこなくなる。
なにも出てこないしあわせをはじめて知ったのは大学生の時だった。
吸い込むことも吐き出すこともない。
水にぷかーと浮いてるような。
水を通した声はぼんやり骨に響くようだった。
つやつやした声は今すぐ聞こえないけれど、きっとまた、あざやかに聞こえだす。
誰かのせいに、何かのせいにしちゃいたい日もあるな。
ぜーんぶ冬のどんよりした天気のせいにしちゃいたいな。
きみが泣いたことも
わたしが惑ったことも
あの子が笑ってたのも
ぜーんぶ冬のせいだ。