11月2日、stay gold
感じようとする力が目減りしてゆくのがわかるというのは耐え難い。
季節の変わり目にするいい匂いの風のことを。
恋人の首筋の匂いをスンと鼻で吸い込むときに彼とわたしがほんの少しだけ同じ成分で構成されていることに気付くことを。
衣替えのときにふれただけですこし暖かく感じる冬の服のことを。
なんのために歩いているのかということを。
じつはいつも向けられているまなざしのやさしいことを。
からだいっぱいで感じていたのに
記憶はまだザラザラになったテレビのようにあるのに
忘れていってしまう
忘れられてしまう
忘れちゃう
忘れたくない
忘れないで
恋人の服を着て働いても、恋人のような勇者にはなれなかった。
わたしはわたし自身でわたしへと成る。