2月7日、あなたに電話しない夜
見慣れた帰り道
電車に揺られながら覗き込む夜。
今日はあまりきれいだとは思えなかった景色。
そういうものも、あるのだ。
何でもかんでも感動していられない日というものが、あるのだ。
雑多でとりとめのない限りのないグレーの生活が、
真面目な顔でうごめいているだけ。
素晴らしい夜もあったの。
すべて許せてしまう夜もあったの。
あなたは元気かなあ
電話をしない夜を何度も繰り返す
あなたのルールを思い出す
あなたのことも思い出す
そうやって同じ場所でたった一人のあなたに何度も出会う
誰かが堂々巡りと言っても、わたしにはいつも初めてのこと。
そんなわたしにあなたはつよいひと、と笑う。
つよいひとになりたい
いつかの魔法使いが言っていたような。
つよいひとになりたい
あなたの袖口に触れてはじめて、思った。