tayutauao

text / photo

2月27日、口づけ

 

泣いていても眠っていても続く。

酔っ払ってフラフラゆらゆらと千鳥足でも

湯船に頭から潜ってボウルの中のアサリになっても

きみと手をつないでこの世で1番いい気持ちがしても止められない。

死ぬまで脱ぐことができない。

100年たったらみんな死ぬ。

それはどこか甘やかで安心のすることだ。

永遠に生きるなんてまっぴら。

 

f:id:tayutauao:20170227212128g:plain

 

桜のつぼみが枝の先にぷくりとついているのを見て

もうすぐ春なんだ、つぶやく。

風も穏やかな日がある

この体、吸い込めるならいつまでも季節には敏感でいたい。

 

会うたびに、覚えておこうと思うようになった。

目、鼻すじ、口、首から肩の永遠みたいな水平線

鎖骨を舐めた、背中の匂いをかいだ。

ホクロの位置を星座板を眺めるみたく、くるくると見つめた

それらをゆっくりとなぞろうとする。

きみはわたしの好きなひと。

愛は与え続けるものだ、言葉がひびく。

わたしの愛はきみにずっとずっと与えられるものだ。

けれども言葉だけのことじゃない。知っている。

 

思い出そうとするとあくびが出る。

目をつぶると力が抜ける。

ふふふ、と笑みがこぼれる。

安心をたずさえてきみのことばかり考える。

ありふれたことだ。

恋してる、と声に出してみると本当になるような恋。

愛してる、と声に出してみるとちっぽけになるような愛。

 

好きな人たちのそばにいたい

まだまだずっといたい

脱ぎ去ることのできない人生を歩いてく。