2月27日、口づけ
泣いていても眠っていても続く。
酔っ払ってフラフラゆらゆらと千鳥足でも
湯船に頭から潜ってボウルの中のアサリになっても
きみと手をつないでこの世で1番いい気持ちがしても止められない。
死ぬまで脱ぐことができない。
100年たったらみんな死ぬ。
それはどこか甘やかで安心のすることだ。
永遠に生きるなんてまっぴら。
桜のつぼみが枝の先にぷくりとついているのを見て
もうすぐ春なんだ、つぶやく。
風も穏やかな日がある
この体、吸い込めるならいつまでも季節には敏感でいたい。
会うたびに、覚えておこうと思うようになった。
目、鼻すじ、口、首から肩の永遠みたいな水平線
鎖骨を舐めた、背中の匂いをかいだ。
ホクロの位置を星座板を眺めるみたく、くるくると見つめた
それらをゆっくりとなぞろうとする。
きみはわたしの好きなひと。
愛は与え続けるものだ、言葉がひびく。
わたしの愛はきみにずっとずっと与えられるものだ。
けれども言葉だけのことじゃない。知っている。
思い出そうとするとあくびが出る。
目をつぶると力が抜ける。
ふふふ、と笑みがこぼれる。
安心をたずさえてきみのことばかり考える。
ありふれたことだ。
恋してる、と声に出してみると本当になるような恋。
愛してる、と声に出してみるとちっぽけになるような愛。
好きな人たちのそばにいたい
まだまだずっといたい
脱ぎ去ることのできない人生を歩いてく。