12月6日、under control
砂漠に行ってそこに花が咲いていたら そのことを一生わすれないだろう。
アラスカのどこかに住んでいるちいさな女の子の頬が寒さで赤くなったら
そのことをあなた、何度だって歌にするだろう。
おおきな緑の下に静かにある地面の白く乾いていたことが
今もその大地に響く爬虫類の足音の絶えていないことが
そこに金色の雨が降りしきっていたことが
泡立ったわたしの真ん中を均してゆく。
「世界はそんな風にして誰にも優しいはずだよ」
中国の朝、清潔な光に照らされる太極拳のじいさんのような
(次のからだがどう動くのかを彼は知っている)
(一秒前のからだがもう過去のものだと彼は知っている)
熱いマグカップを口元に運ぶ誰かのその動きのような
(三秒後に触れる海が熱いことを彼は知っている)
(恋人にふれる手は熱くその熱こそが自分にとって一等に必要なものだと彼は知っている)
そのひたひたの優しさがようやくわたしたちを救う。
あなたの点滅が記号となった。
それに似た音を探して、似た光を探して、
(けれど名前をつけたり、手懐けようとはせずに)
何でもない発見をあなたに耳打ちしたい。
それで世界は素晴らしくならないかもしれないけれど
きっとわくわくすると思うからあなたにそのことを教えてあげたい。
いつかの永遠の手前
世界が終わってしまう前
できればひとりの夜、あなたが悲しい夢を見る前に。