3月25日、のうぜんかつら
働いているところの事務所には
「好きになれば何事も続けられる」という言葉がかかっている。
少し乱暴なその言葉に、ぱっと励まされることがある。
素直なものだ、と乾燥しきった肌を撫でる。
夢を追いかけることにしたら、生活にメリハリがつくようになった。
途端に輪郭を持ち始めたそれに、今、戸惑うことはない。
失うものはなく、足りないのはお金と健康な体だけだ。
叶うものと叶わないものがあって、ふわっとうずくまりそうになる。
やりたいことのある人生を、やっと好きだと思った。
誰かの甘い言葉も、つらい時の涙も、愛も、聖母も、
寝返りを打つばかりの布団にくるまっている。
いつのまにか、ほとんどを寝て過ごしてきた。
そのくせは抜けずに、今日も寝癖がひどい。
暖かかくて、柔らかく、
それ以外をどれだけちからづくで立っていたかを思い知る季節。
優しい気持ちで空を見上げる時には広がっていくものだけを感じる。
もう蕾は膨らみ始めていて、お母さん、とつぶやいた。