4月16日、通学路
あのころ肺に一生懸命吸い込めていた空気が
幻だったかのようにこの体をあたためている
愛想笑いで過ぎていく日々もいつの間にか過ぎて
はらはらと舞う、今日という式日
明日のことなど考えずに眠る猫の健やかな体
味気ないのは作りかけのご飯
言って欲しかった言葉
正しく夜を迎えることを思い出すのは
少し夜更かしをするときだったりするね
理性と知性が大切だという愛おしいきみのこと
追突事故で真っ先にわたしのことを心配したきみのこと
わたしを置いて世界からいなくなってしまったきみのこと
こんな気持ちが一体なんになるのだろうと思いながら
きみが、誰に見せるでもないけれど一等の宝物です
車の中で聴いたのは青い春を与えてくれた懐かしい音楽
対向車線のヘッドライトが乱視で拡散してちょっと涙を浮かべた
大きなものに見られている感覚が宇宙を教える真夜中
もう、うずくまっている時間はないと思えた
しあわせな夢。
夢が叶う夢。
私の運命を変えた人が
あの控えめな立ち姿で
私を迎えに来た。
君の夢は叶った、と
そして私は言う
「夢ならまだあります」
そう夢ならまだあるんだ、と
ただ俯瞰してくる空を讃えた。
そして今年も花が散る。